HOME開業支援
開業支援
クリニックが開業するためには概ね以下の手順を辿ります。
1 開業構想【目安】開業1~2年前
開業理念・コンセプト
なぜ開業するのか、どのような患者さんを対象にどのような診療をしていきたいのか、
自身の強みを振り返り、開業の基盤となるクリニックの経営理念、コンセプトを検討する。
開業スタイルの決定
戸建て、テナント、医療ビルどのような開業スタイルを希望するか検討する。
2 物件探し【目安】テナント開業は6ヶ月(計画案件は1~2年前)
開業エリアの選定
自身の診療コンセプト、ライフスタイルから、「自宅の近隣」「勤務先の近隣」「住宅地」「駅前」「オフィス街」
「再開発地域」「医療過疎地」「縁故関係のない地域」などどのような場所で開業したいのか、開業エリアを絞り込む。
診療圏調査
開業エリアの絞り込みができたら診療圏調査を行う。
診療圏調査では現地調査、人口世帯数調査、競合医療機関調査を行い、地域の患者層、医療の需要を探る。
物件の選定
具体的な物件を探す。
物件には計画物件、不動産会社の募集物件、居抜き物件、継承物件があり、ぞれぞれ開業時期、建物の構造、賃貸条件から検討する。
物件の内見
希望物件が出てきたら物件内見を行う。
給排水の位置、電気容量、空調設置の状況などを確認し、建物の構造上クリニックとしての使用が可能な建物か否かを確認する。
物件の状況によりかかる内装費も変わってくるため、物件の現況、退去時の条件もよく確認する。
賃貸契約
賃料、保証金、保証金償却、管理費、共益費のほか、契約形態(普通借家契約もしくは定期借家契約)や看板スペース、賃料発生時期について確認を行い、最終的に条件が折り合えば契約を結ぶ。
物件オーナーとの直接契約であるか、管理会社との契約であるかも契約前に確認する。
3 資金調達【目安】テナント開業は4~5ヶ月前(建築計画は1年以上前)
事業計画の作成
物件の検討と並行して事業計画を作成する。
開業時に必要な設備資金、運転資金を把握し、開業後5年間の収支予測をたてて、事業が成り立つかどうかを検討する。
そのうえで開業資金を自己資金で賄うか借り入れをするか検討する。
融資先の選定
借り入れが必要な際は、融資を受ける金融機関を選定する。
選定には借り入れ条件のほか、開業地との距離や使い勝手なども考慮し、政府系・地方自治体等融資である「日本政策金融公庫」「地区の制度融資」「独立行政法人福祉医療機構」「医師信用組合」、または民間金融機関の「大手都市銀行」「地方銀行」「信用金庫」などから選定する。
リース
短期間で買い替えの必要がある機器、バージョンアップのあるシステム、PCベースの電子カルテなどは場合によってリースを検討する。
融資と比較し、キャッシュフローや減価償却、動産保険なども考慮し検討する。
4 内装【目安】開業4~5ヶ月年前
レイアウト設計
クリニック専門の内装会社に開業物件を内見してもらい、構造の確認とレイアウトをひいてもらう。
クリニックの診療内容、運営方針を基に必要な部屋数、スペース、導線を検討し、院内の衛生や安全にも配慮した設計にする。導入予定の医療機器のサイズ、電気容量、コンセント、LANの位置にも配慮する。
レイアウト完成後、必ず所管の保健所へ事前相談をする。
建築・内装施工
戸建て開業の場合、建築にかかる期間は概ね6ヶ月。テナント開業の場合、内装工事にかかる期間は概ね1ヶ月。
工事費は工事の着工時、中間、竣工時に分けて支払うケースが多い。
内装完成後、保健所が構造設備確認のための立会い検査を実施するケースが多く、開設日までに工事を終えている必要がある。
5 物品調達【目安】開業1~3ヶ月前
医療機器
開業後の診療内容を想定し必要な医療機器を選定する。
資金状況によっては開業時からすべての医療機器を採用するのではなく、開業後必要に応じ購入するという選択肢も重要。
レイアウト設計に必要な各機器のサイズ、電気容量、コンセント、LANの位置は事前にメーカーに確認する。
電子カルテ
レイアウト設計に影響するため初期の段階で電子カルテ採用の有無を検討する。
電子カルテ採用の際は各社システムを比較検討する。
操作性、機能性、費用、保守サポート、他機器との連動、臨床検査会社との連携など、各社との互換性も確認し、実際にデモを受け判断する。
什器備品
内装工事期間中から診察机・椅子・診察台・キャビネットなどの什器備品を選定する。
医療用のメーカー製品についてはいずれも受注生産のケースが多く、発注から納品まで1ヵ月前後かかることがある。
立会い検査の日時および電子カルテ納期を考慮し余裕をもって発注する。
医薬品・衛生材料・備品
開業直前までに医薬品・衛生材料・備品を選定する。
医薬品・衛生材料は医薬品卸会社へ、医療材料・備品類は医療機器卸会社、医薬品卸会社などへ手配する。
6 行政手続き【目安】個人開業は3ヶ月前
開設届(保健所)
クリニック開設に必要な届出。
開設日以降10日以内に所管の保健所へ開設届を提出する。
その後立会検査を受け(※都道府県により異なる)開設届の控え(副本)を受理。
保険医療機関指定申請(厚生局)
保険診療を行うために必要な申請。
開設届の副本受理後、所管の厚生局へ保健医療機関指定申請書を提出する。
厚生局ごとに毎月締切日があり、一日でも提出が遅れると開業月が翌月になってしまうため、注意が必要。
例)東京の場合
毎月10日締切 → 翌月1日指定 (例 3/10締切 → 4/1保健医療機関指定)
診療報酬施設基準(厚生局)
施設基準が設けられている診療報酬を算定する場合には厚生局へ施設基準の届出を行う。
書類は毎月1日必着、当月から算定可能となる。
例)4/1必着 → 4月1日より算定可能
公費負担医療(各行政機関)
生活保護指定医療機関、乳幼児・義務教育就学児・ひとり親家庭の子供への医療助成、難病・障害の方への医療助成、指定自立支援医療機関(更生・育成医療、精神通院医療)、感染症指定医療機関、被爆者一般疾病医療機関、労災指定医療機関など公費負担医療の対象患者さんを診療する可能性がある場合にはそれぞれ指定医療機関となるための申請または契約を行う。
医療機関届、レセプトオンライン請求に関する届出(国民健康保険団体連合会・社会保険診療報酬支払基金)
保険医療機関指定通知書受理後、国保・社保それぞれから医療機関届が送付される。必要事項を記入の上提出する。
レセプトのオンライン請求を行う際は別途オンライン請求を開始するための手続きを行う。
その他届出
その他、税務署への事業開始届、労働基準監督署・ハローワークへの労働保険事業主手続きなど漏れがないよう手続きを行う。
7 広告【目安】開業3ヶ月前
ロゴマーク・診察券・名刺・リーフレット・封筒
クリニック内で必要な紙媒体を作成する。
いずれの媒体もロゴマークを基調にデザインを作成することが多く、ロゴマークを用いる場合には早めにデザインを確定させ、必要な紙媒体(診察券・名刺・リーフレットなど)を作成する。
医療機関経験のある広告会社に依頼するとスムーズ。
ホームページ
集患プロモーションの重要な媒体であり作成は必須。
ホームページ設立後、検索して上位にあがるまで少なくとも1ヵ月以上かかるためできれば開業の数か月前から準備段階のホームページを設立させておく。
新聞折り込みチラシ・ポスティング
開業直前に開業告知として新聞折り込みチラシ、ポスティングを行う。
開院告知のほか内覧会実施の案内として行うケースもある。
看板
クリニックの認知のため、平看板、袖看板、自立看板、置き看板、カッティイングシートなど建物サインを設置する。
集患のため必要に応じ駅看板、野立看板、電柱広告なども検討する。
8 スタッフ【目安】開業2~3ヶ月前
求人募集
研修開始に間に合うよう概ね開業2ヵ月前から求人募集を行う。
募集媒体は新聞折り込みチラシ、インターネット求人サイト、フリーペーパー、ハローワーク、HP掲載、看護師協会、人材派遣会社などがある。
媒体ごとに応募者の地域、世代、属性の特徴があり、求人・採用にかかる費用も異なるため、自院にあった媒体を検討する。
研修
開業日の1~2週間ほど前からスタッフに向けての研修を行う。
まずは院長よりクリニックの開業理念、コンセプトを伝えスタッフに統一の認識をもってもらう。
実務的な研修は電子カルテ・レセコンを中心に、医療機器、窓口会計業務、接遇、院内ルール作成、物品調達などを行い、開業に向けて準備を整える。最終日までには模擬診療を行い、開業に備える。
9 内覧会【目安】開業1週間前
地域の人々に認知してもらうための内覧会を行う。
事前に内覧会告知のチラシを近隣住民に配布し、当日は院内の中を見学してもらう。
コミュニケーションをとることで親しみやすさを感じてもらえるよう、クリニックの雰囲気をつかんでもらうように努める。
10 祝開業
開業準備完了。
ここから新たなクリニックのスタート!